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学校日記

年度始めのご挨拶

公開日
2021/04/30
更新日
2021/04/30

校長メッセージ

 授業参観、学年・学級懇談会にご参加いただき、ありがとうございました。例年この時期に全校一斉に授業参観やPTA総会を行っていましたが、密を避けるために学年ごとの開催にしました。各学年懇談会で挨拶させていただいた内容をこちらに掲載いたします。昨年度までと変わった点について主に三つお話しさせていただきました。
 一つ目は、PTA総会についてです。今年度からPTA総会は行わず、2月に行う「現新PTA役員全体会」を以てPTA総会に代えることになりました。昨年度と今年度の役員や理事さんが合わせて70名位が出席されますので、そこでご承認いただけるよう規約を改正しました。このことによって学校もPTA役員さんの負担も減りました。また、PTA活動についても大幅に改善していますので、今後のアナウンスをお待ちください。また、数年前まで行っていた家庭訪問に代わる「希望面談」も、特に時間を設定しておりませんので、個別にご相談がありましたら、いつでもご連絡いただければ対応いたします。
 二つ目は、学校行事についてです。毎年9月、10月に行っていた「清流祭体育の部」と「合唱の部」の変更になります。
 今年度もすでに修学旅行の延期を(11月4・5・6日に)決定するなど、コロナの影響を受けています。学校行事についても、せっかく準備を進めたのに「中止」という状況はできるだけ避けたいと思います。そこで、コロナによる影響をなるべく減らすために、行事を細分化し、ステージごとに分散開催することにしました。1日にすべての種目を行うのではなく、第2ステージにリレー、第3ステージに長縄や合唱、第5ステージに生徒会種目というように、年間を通して行事を楽しめるように配置しました。コンパクトにした分、コロナの心配があれば時期をずらすこともできますし、熱中症の心配も減ります。盛り上がりに欠けるかもしれませんが、清流杯と名付けて年間のグランプリを競う中で、各学級の工夫が見られることを期待しています。
 なお、清流杯を行う日は、オープン参観日として、授業の様子もご覧いただくように計画しています。
 最後は、定期テストの結果についてです。
 本校では、テスト実施後、その結果をテスト個票でお渡ししていますが、昨年度から、教科ごとや合計の学年・学級順位を記載していません。その主な理由を述べたいと思います。
・定期テストを行う目的は二つあります。一つは、生徒自身が学習した内容をどれだけ定着できているか確認するためです。定着が不十分な教科や内容を知ることで、自主学習の参考にしたり、学習の仕方を工夫したりすることにつなげるためです。
 もう一つは、教師が、生徒の定着の状況を把握することによって、自分の授業を振り返り、授業改善につなげるためです。この二つの目的から考えれば、「順位」で人と比べる必要はありません。
・昔の成績は、40人であれば5が何人、4が何人…1が何人という割合が決まっている相対評価でした。どれだけ頑張っていい点数をとっても、上に人がいれば5が取れなかったわけです。集団の中でどのような位置にいるかが評価されていました。
それが2002年(平成14年)から「目標に準拠した評価」いわゆる絶対評価に変わり、目標がどの程度実現したか、その実現状況を評価し、総合的に5段階で示すようになりました。
 このように、評価や評定が「人と比べてどうか」ではなく、目標に対してどうかとなっているにもかかわらず、なぜかテスト結果に関しては「順位」という「人と比べてどうか」が旧態依然としている矛盾が生じています。
・高校入試に関しても順位は一切関係ありません。高校側に順位に関する資料を提示することも絶対にありません。順位が何番だから○○高校は大丈夫とかダメ…という指導もすることはありません。
・順位は相対評価ですから、テストで頑張って目標点を取ったとしても、順位が下がることがあります。そうすると、子どもたちは目標を達成したにも関わらず、順位に目が行き、頑張った自分を褒めることができなくなります。(保護者も同じ傾向がある…)
・逆に、それほど頑張らなかったり満足のいく点数が取れなかったりしても順位が上がることもあります。子どもたちには、順位の上下によって一喜一憂することが無意味だということを理解させたいと考えました。
・PISA調査(OECDが進めている国際的な学習到達度調査)の上位にいつも来るフィンランド(教育先進国)は、成績の相対評価を全廃しています。つまり「相対評価をしなくても人は伸びる」ことが国際的な調査でも証明されている訳です。
・子どもに競争させないと、クラスの雰囲気がとてもよくなる。教育には競争心よりもピア(同級生や仲間)が大事だと言う教育関係者が増えています。
 このような理由から、本校ではテスト結果において順位を記載していません。昨年度は、順位を知りたい生徒には個別に伝えていましたが、今年度はそれも行いません。ヒストグラムという資料をつけていますので、それを参考にしていただければと思います。昨年の学校評価で、「なぜ順位を出さないのですか?」といったご意見が多かったので、今回、ご説明をさせていただきました。
 保護者の皆様には、テストの結果よりも、テストまでの過程や、テストが終わった後の学習の仕方に目を向けていただいて、結果に表れない部分も温かく認めていただくことが、結果的にお子さんの成長を支えることになります。

 学年懇談会では、以上のように今年度の大きな変更点を取り上げながら、学校の運営方針も含めてご挨拶させていただきました。
 1年間、ご理解・ご協力をどうぞよろしくお願いいたします。

 令和3年4月30日
 清水町立南中学校長 渡辺 英一郎