第1回メッセージ
- 公開日
- 2012/06/11
- 更新日
- 2012/06/11
校長メッセージ
清水中学校に赴任して2ヶ月が経ちました。本校は、1学年7クラスレベルの大きな学校です。伝統校ならではの素晴らしさとともに課題もあります。日々生徒や教職員と接しながら考えたこと、また、自分が常日頃から思っていることなどを織り交ぜながら校長メッセージを発信します。第1回目は、4月に教職員に投げかけた自分の思いから掲載します。
清水中学校が目指すものは何か 平成24年4月 山中敏弘
1.子どもたちの未来を幸せにするために
21世紀の前半を歩む日本人の目指すべき方向はどこだろう。将来の目標は何だろう。複雑化した社会の中で過去に経験したことのない問題が多発し、その対応策に苦慮して、自信を持って迷わずに前進することが難しくなった。これは混沌とした政治経済だけの問題ではなく、学校教育も同様に混沌としている。教育に求められる課題は累積して肥大化し、人々の願いや価値観は多様化して、人間としてあるべき姿も鮮明に見えなくなってきている。「この方向に一直線に進もう。」という潔い決断がしにくい世の中になってきた。しかし、我々教師は、学校で「未来の日本人」を育てている。この子どもたちが明日の日本を背負い、さらに国際社会のために活躍することを祈りながら教育活動を行うものである。そう考えると、まず「子どもの未来」について夢を抱くのである。
中学校の段階から「未来の日本人」という大きなテーマを掲げるのはオーバーかも知れないが、子どもたちの未来はけっして遠い先の話ではない。かつての勤務校を振り返ると、昨日入学した子どもたちが、今日には卒業式を迎えている。高校受験も就職もあっという間にやってきて、やがて結婚式の写真が載った年賀状が届くのである。人生の基礎を形作る学校生活は、実に短い時間といえよう。小・中学校わずか9年の義務教育の中で、子どもたちに必要な「生きる力」を身に付けさせるためにはどうしたら良いのかということを、もう一度じっくり考え直す必要がある。
2.未来を切り開くためには、何が必要なのか
豊かな未来を切り開くこと。それは、自分の力で生きていくことの決意であり、社会の一員として生きていくことへの強い認識であると思う。抽象的な言い方をすると「修行」を積むことである。
1 自分の力で生きること
自分で考え、自分で行動し、自分自身を律しながら生きることができる
2 社会の一員として生きること
自分を取り巻く他の人々、物事、事象とともに生きていくことができる
この1と2は別々に培われるものではなく、双方が常に関わり合い支え合って身に付いていくものである。つまり、自分自身の人生の充実を求めるとともに、自分を取り巻く他者の幸福も考える。自分の想いや考えをしっかりと主張するとともに、他者の意見にも素直に耳を傾け、認めるべきところは認め、尊重すべきところは尊重する。自分と異なる他者の考えがあれば、改めて自分の考えを振り返りさらに自分を高める。
「自分の力で生きること」ができる者は、他者との関係を考えたり自分の行動を振り返ったりすることができるはずだ。そして「自分の力で生きること」ができる者同士が集まれば、互いに相手を理解し合い、個性を尊重し合い「共により良い社会を築いて」いこうとする発展的な推進力を発揮することになると思うのだ。日本の未来を担う子どもたちに「自分の力で生きること」と「社会の一員として生きること」の2つをぜひ身につけさせたい。とりもなおさず、これが清水中学校の学校教育目標「夢の実現に向け、認め合い、高めあう生徒」である。